自転車の空気抵抗
- 2015/03/17
- 12:33
自転車の空気抵抗を実際に計算してみたの巻です。
こういう記事を書くのは何故か?(他のブログの記事が凄い経験的・幼稚なことを書いているからです)
私は何故か説明できない輩に物を言われるのは世界一嫌いです。ハイキックしたくなります。
また、素晴らしいコメントもいただいており、イナーシャを犠牲にしても空気抵抗を考慮したほうがいいという場合もあるそうで、単純に空気抵抗に興味をもったからというのもあります。
最初の前提ですけど、簡略化して計算します。
これを本当に一から計算するのは人間の手計算では不可能で、企業などでは連続体や色々なものを駆使してPCで計算するはずです。そういう意味では、メーカーの説明を聞くしかありません。が、第三機関の発表とメーカーの出す結果がかなり違って信用できないのも本当です。
ですので、質点で考えるというのは、性質がわかっても正確な数値としてとらえることはできません。ある意味、今回の記事は、空気抵抗の性質を書いた記事と言えます。こういう前提があるということが大事です。
空気抵抗とは以下の式で表わせます。

一般人は空気抵抗といいますが、物理屋さんはふつう慣性抵抗と言います。
慣性とついていますが、みなさんが知っている慣性とは全く関係ないのでご注意を。
この空気抵抗と言うものものは非常に厄介で、空気抵抗は速度域によって形態を変えます。まあまあ速度域が高い時は、速度の二乗に比例し、速度域が低い場合は速度に比例します。今回は自転車はある程度の速度を持っているので速度の二乗に比例した抵抗をもっていることになります。
空気抵抗の係数kは、ご存じの通り前衛投影面積Sに比例します。
(今回は省略してますけど、λの中にはレイノルズ係数が入ってます)

速度の二乗に比例するということで、横軸を速度にすれば二次関数になります。

これは推測です。
自転車に乗っているとき、きついと思い始めるのは40㎞/hでしょう。30㎞/hはあんなに楽なのに...。
恐らくですが、自転車の場合、空気抵抗の関数の傾きが一気に大きくなる瞬間が40km/hなのかもしれません。
こういう理由で、私は自転車の場合40㎞/hで空気抵抗が顕著に表れてくる箇所だと考えています。
ちなみに、自動車では60㎞/h~70km/hで急に燃費が落ちるそうです。

もう一つ重要なのが、前衛投影面積がどのような影響を与えるかということですよ。
前衛投影面積は空気抵抗に比例するので、前衛投影面積を減らすことでキツイ箇所になる速度域を後送りすることができます。
TTポジションでは、ロードのブラケットポジションを持つときに比べれば40㎞/hは楽でしょう。
エアロフレーム以上にTTポジションをとることで前衛投影面積を減らしたことがかなり効いていると思います。
ここで運動方程式を立ててみましょう。
推進力をFとし、全質量をm、速度v、位置x、時刻tとします。kは空気抵抗係数。
空気抵抗の性質を見たいため、転がり抵抗は無視します。
↓画像はクリックすれば拡大できます。

最後の式を見ればわかりますが、指数関数なので必ず一定値をとり始める瞬間があり、簡単に言えば頭打ちの速度があります。いわゆる終端速度です。
ある一定の推進力を自転車がする場合、かならず頭打ちの速度があるということです。ある意味、式の中に入っている推進力Fを鍛えることが速くなるコツです。これは当たり前か(笑)
また、テクニックで磨くならば、前衛投影面積を小さくすれば、同じFの推進力を持つライバルよりも先行することができます。
次は、以上の理論式を元にグラフを描いてみます。
Fやkの値は適当です。特にKはレイノルズ係数や色々なものをふくんでいて全くわかりません。とりあえず計算しやすいK=1を採用します。性質だけ見れれば今はいいので。今回はエクセルが使いもんにならんのでgnuplotさんを使いました。これ便利です。
F=1700[N]、m=70[kg]、k=1としたとき、のグラフ↓

↑クリックすれば拡大できます。
終端速度は、約39㎞/h程度です。
ここで、もしTTポジションをとって上の状態から前衛投影面積が0.8倍になったとします。ただ、推進力Fは変化しないとします。つまり、Fは同じでK=0.8です。
F=1700[N]、m=70[kg]、k=0.8としたとき、のグラフ↓

↑クリックすれば拡大できます。
終端速度は、約42㎞/hは程度です。
パワー、推進力を自転車に私たちは加えているわけですが、同じ推進力でも巡行時に前衛投影面積を減らすことはエライ違いがうまれてくるのがわかると思います。わずか二割減らすことでこの違いですよ。実際は、転がり抵抗や色々な要因でここまでの違いが生まれてくるかどうかはわかりませんが、間違いなくタイムに影響します。
平地でスプリントフォームでない、ヒルクライムのようなダンシングは全く意味がないことがわかるはずです。(リラックスするという意味では効果はありますが)
また、TTバイクを持っていないボンビー学生(私ですw)も理論上、TTポジションをうまくロードでも作れればタイムトライアルで戦えます。
チートですが、かの有名な前衛投影面積の少ないオブリースタイルやスーパーマンポジションが許されていれば、TTポジションよりも速く走れると思います。
以上です。
おまけ

「慣性モーメント ホイール」の検索結果で、第7位!でした。GOOGLEとYAHOOでは一ページ目にでてきます。
こういう記事を書くのは何故か?(
私は何故か説明できない輩に物を言われるのは世界一嫌いです。
また、素晴らしいコメントもいただいており、イナーシャを犠牲にしても空気抵抗を考慮したほうがいいという場合もあるそうで、単純に空気抵抗に興味をもったからというのもあります。
最初の前提ですけど、簡略化して計算します。
これを本当に一から計算するのは人間の手計算では不可能で、企業などでは連続体や色々なものを駆使してPCで計算するはずです。そういう意味では、メーカーの説明を聞くしかありません。が、第三機関の発表とメーカーの出す結果がかなり違って信用できないのも本当です。
ですので、質点で考えるというのは、性質がわかっても正確な数値としてとらえることはできません。ある意味、今回の記事は、空気抵抗の性質を書いた記事と言えます。こういう前提があるということが大事です。
空気抵抗とは以下の式で表わせます。

一般人は空気抵抗といいますが、物理屋さんはふつう慣性抵抗と言います。
慣性とついていますが、みなさんが知っている慣性とは全く関係ないのでご注意を。
この空気抵抗と言うものものは非常に厄介で、空気抵抗は速度域によって形態を変えます。まあまあ速度域が高い時は、速度の二乗に比例し、速度域が低い場合は速度に比例します。今回は自転車はある程度の速度を持っているので速度の二乗に比例した抵抗をもっていることになります。
空気抵抗の係数kは、ご存じの通り前衛投影面積Sに比例します。
(今回は省略してますけど、λの中にはレイノルズ係数が入ってます)

速度の二乗に比例するということで、横軸を速度にすれば二次関数になります。

これは推測です。
自転車に乗っているとき、きついと思い始めるのは40㎞/hでしょう。30㎞/hはあんなに楽なのに...。
恐らくですが、自転車の場合、空気抵抗の関数の傾きが一気に大きくなる瞬間が40km/hなのかもしれません。
こういう理由で、私は自転車の場合40㎞/hで空気抵抗が顕著に表れてくる箇所だと考えています。
ちなみに、自動車では60㎞/h~70km/hで急に燃費が落ちるそうです。

もう一つ重要なのが、前衛投影面積がどのような影響を与えるかということですよ。
前衛投影面積は空気抵抗に比例するので、前衛投影面積を減らすことでキツイ箇所になる速度域を後送りすることができます。
TTポジションでは、ロードのブラケットポジションを持つときに比べれば40㎞/hは楽でしょう。
エアロフレーム以上にTTポジションをとることで前衛投影面積を減らしたことがかなり効いていると思います。
ここで運動方程式を立ててみましょう。
推進力をFとし、全質量をm、速度v、位置x、時刻tとします。kは空気抵抗係数。
空気抵抗の性質を見たいため、転がり抵抗は無視します。
↓画像はクリックすれば拡大できます。

最後の式を見ればわかりますが、指数関数なので必ず一定値をとり始める瞬間があり、簡単に言えば頭打ちの速度があります。いわゆる終端速度です。
ある一定の推進力を自転車がする場合、かならず頭打ちの速度があるということです。ある意味、式の中に入っている推進力Fを鍛えることが速くなるコツです。これは当たり前か(笑)
また、テクニックで磨くならば、前衛投影面積を小さくすれば、同じFの推進力を持つライバルよりも先行することができます。
次は、以上の理論式を元にグラフを描いてみます。
Fやkの値は適当です。特にKはレイノルズ係数や色々なものをふくんでいて全くわかりません。とりあえず計算しやすいK=1を採用します。性質だけ見れれば今はいいので。今回はエクセルが使いもんにならんのでgnuplotさんを使いました。これ便利です。
F=1700[N]、m=70[kg]、k=1としたとき、のグラフ↓

↑クリックすれば拡大できます。
終端速度は、約39㎞/h程度です。
ここで、もしTTポジションをとって上の状態から前衛投影面積が0.8倍になったとします。ただ、推進力Fは変化しないとします。つまり、Fは同じでK=0.8です。
F=1700[N]、m=70[kg]、k=0.8としたとき、のグラフ↓

↑クリックすれば拡大できます。
終端速度は、約42㎞/hは程度です。
パワー、推進力を自転車に私たちは加えているわけですが、同じ推進力でも巡行時に前衛投影面積を減らすことはエライ違いがうまれてくるのがわかると思います。わずか二割減らすことでこの違いですよ。実際は、転がり抵抗や色々な要因でここまでの違いが生まれてくるかどうかはわかりませんが、間違いなくタイムに影響します。
平地でスプリントフォームでない、ヒルクライムのようなダンシングは全く意味がないことがわかるはずです。(リラックスするという意味では効果はありますが)
また、TTバイクを持っていない
チートですが、かの有名な前衛投影面積の少ないオブリースタイルやスーパーマンポジションが許されていれば、TTポジションよりも速く走れると思います。
以上です。
おまけ

「慣性モーメント ホイール」の検索結果で、第7位!でした。GOOGLEとYAHOOでは一ページ目にでてきます。
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